11月6日 決算特別委員会

◆委員(井上ノエミ君) 
 まず、墨田区職員のワーク・ライフ・バランスについてお伺いします。款別審査のときにもお伺いしましたが、幹部職員は有給休暇の消化率が大変低いです。年に5日か6日が平均です。現在国は有給休暇の消化を義務化する議論をしています。日本人も、働くときにはしっかり働いて、休むときにはしっかり休むというライフスタイルを身に付ける必要があります。墨田区では、女性の幹部職員を増やしていく目標がありますが、責任も重くなって休みもとれないのでは、誰も幹部職員になりません。女性が働きやすくするためにも、休暇をとりやすくすることが大事です。そして、休みのときに見聞を広めていただきたいと思います。ほかの都市を訪問するなど学ぶべきことは幾らでもあります。国内の観光都市を訪問したり、ニューヨークやパリなどの海外の都市を訪問して、国際的な都市になるためには何が必要なのか見ていただきたいと思います。部長や課長が、一、二週間いなくても、墨田区にとっては全く問題ないと思います。
 そこで、山崎区長にお伺いします。現在の幹部職員の有給休暇の消化率をどのように改善するつもりでしょうか。区長がリーダーシップを発揮して、部長や課長をはじめ全員が最低10日は有給休暇を取得することを目標にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎区長(山崎昇君) 
 ご指摘のとおり、墨田区の幹部職員の有給休暇の消化率は、年間五、六日と聞いております。有給休暇の日数は年間二十日あるわけでございまして、そのうちの4分の1しか使用していないという実態がございます。ただし、この有給休暇とは別に、区では夏季休暇が1人当たり5日あるわけでございまして、その消化率はほとんど100%でございます。したがって、有給休暇と夏季休暇を合わせると、年間で10日から11日休んでいるということになります。そこで、なぜ消化率が悪いのかということになるわけですが、やはり幹部職員になりますと、仕事上の予定が次々に入ってくるというようなこともございますし、家族もみんな仕事なり学校なりに行って、自分だけ1人で家にいるのも何か物寂しいことになるわけです。井上委員がおっしゃったように、ヨーロッパ、アメリカなどのようにバカンスをとって休むということになれば、有給休暇の消化率も高くなるのではないか、そのように思っています。
 決して、私が休むなと言っているわけではありませんので、これからも計画的な休暇を取得するよう指導はさせていただきたい、そのように思います。

◆委員(井上ノエミ君) 
 是非、区長のリーダーシップをお願いします。また、残業代に年間3億円かかっています。残業を減らして、経費の削減を図っていただきたいと思います。
 次に、大学の誘致についてお伺いします。国のスーパーグローバル大学等事業に沿って、墨田区に大学を誘致するという考えは大変すばらしいと思います。スーパーグローバル大学とは、簡単に言えば、国際的な大学で、留学生がたくさんいて、授業も英語で、また先生も外国人が多い、そして世界のトップレベルの大学と競争できる大学ということです。墨田区にとっては、この誘致が成功すれば、区民にとっても国際化という観点からも大変大きな刺激になると思います。スーパーグローバル大学の創成支援事業には、タイプAとタイプBがあって、予算額は、タイプAは1件4億2,000万円、タイプBは1件1億7,200万円です。選考に漏れても、ある程度の規模の大学であればこの程度の資金は出せると思います。私は、スーパーグローバル大学を墨田区に誘致する交渉は、是非進めていただきたいと思います。
 また、もし大学の誘致が難しいのであれば、大学附属の小学校や、中学校、高校でもいいと思います。その場合にもコンセプトは国際化で、インターナショナルな教育を行うことを条件にするべきです。また、大学附属の研究施設などでもいいと思います。アイデアは大変よいと思いますので、もし大学の誘致が無理ならば、附属学校やその他の施設の誘致も是非考えていただきたいと思いますが、山崎区長のご見解をお伺いします。
◎区長(山崎昇君) 
 国際化が進展する社会の中で、大学という高等教育機関が、スーパーグローバル大学を目指すということは、どの大学にとっても必要なことであると認識しております。とりわけ、国内の人口が若い方を中心に減少していく状況下でも必要なことであると思っております。
 したがって、誘致する大学についても、是非ともグローバルな視点で大学教育を行っていただきたいというのが、私どもの願いでございます。もし大学の誘致がだめなら、附属学校やその他の施設を誘致してはどうかといったお話もございましたけれども、当面は、大学の誘致を第一に考えて、その上で、もしだめだというようなときがあるとすれば、今ご指摘のようなことについても、議会の皆様ともご相談させていただきたい、そのように思っておりますので、ご理解のほどお願いを申し上げます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 大学の誘致には、実現までかなり時間がかかることは当然だと思います。したがって、忍耐強く交渉をしていただきたいと思います。
 次に、すみだトリフォニーホールと、「産業観光プラザ すみだ まち処」についてお伺いします。墨田区は、人口増もあり区民税も昨年度から8億円増えています。この傾向は、しばらく続くと思いますので、歳入の面ではしばらくは期待できると思いますが、行財政改革は徹底して行う必要があります。
 そこで、まずトリフォニーホールについて伺います。款別審査のときもお伺いしましたが、平成28年度からの指定管理者を公募することになりました。これは、大変よい決定だと思います。トリフォニーホールは錦糸町にとって大変大事な文化施設です。しかし、年間5億円近い経費がかかっています。この機会に、是非大幅な経費の削減を図っていただきたいと思いますが、山崎区長のご見解をお伺いします。
◎区長(山崎昇君) 
 平成28年4月からのトリフォニーホールの指定管理者は公募するということで、現在、その準備を進めさせていただいております。これまでトリフォニーホールが果たしてきた役割を区の要求水準としてまとめて、指定管理者を公募することになります。したがって、公募することによって大幅な経費削減につながるかどうかということについては、区の要求水準をきちっと満たしていただいた上での話になるわけでございますので、応募してきた事業者の提案内容等について十分調査をさせていただきたい、そのように思っています。
 いずれにいたしましても、指定管理者制度を導入する趣旨は、サービスの向上を図ることと同時に、効率的な運営をして経費の削減につなげていくことでございますので、そういった点については、審査の際に判断をさせていただきたい、そのように思っている次第でございます。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、「産業観光プラザ すみだ まち処」についてお伺いします。この施設は、10年間の賃貸借契約を結んでいるということですが、10年間で16億円かかるわけです。そこで、契約内容についてお伺いしますが、契約期間内の解約に関しては、どのような条件が付けられているのでしょうか。契約書に違約金の条件は付けられているのでしょうか。
◎産業観光部参事(中山誠君) 
 平成24年4月に東武鉄道と締結いたしました定期店舗区画賃貸借契約におきまして、賃貸借期間満了前の解約につきましては、区、東武鉄道、それぞれが相手方に対し、6カ月前までに書面による申し入れをし、双方が合意すれば、申し入れ後6カ月を経過した日をもって契約を解約することができるとなっております。しかし、区が正当な理由なく、相手方の承諾なくして事業を終了した場合は、違約金として賃貸借期間の残存期間分の賃料相当額を支払わなければならないとなっております。なお、まち処は、東京スカイツリーの開業に合わせまして、観光客の区内回遊を促進するため、墨田区基本計画におきましても主要な公共施設整備事業に位置付けて整備した事業でございます。また、その整備に当たりましては、国のまちづくり交付金の交付を受けておりますので、今後の継続的な運営につきましてはご理解をお願いしたいと思います。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、教育委員会制度改革についてお伺いします。墨田区でも、いよいよ教育委員会制度改革が実施されます。この制度改革によって、区長が学校教育に関してより明確に責任を負うことになると思います。そこで区長は、今回の改革について、どのようにお考えなのかご意見をお伺いします。また、墨田区の学校教育についてどのようなビジョンをお持ちでしょうか、さらには、区長が責任を持って教育行政を実施するためには、今の教育委員会の体制で大丈夫なのかどうか、私は体制の強化が必要なように思いますが、区長のお考えをお伺いします。
◎区長(山崎昇君) 
 来年の4月から施行されます教育委員会制度改革によって、区政運営の責任者である私が、教育委員会の政治的な中立性を保ちながらも、さまざまな教育行政に関わる基本的な方針等について関与していくということになります。今後は、区長が総合教育会議という会議体を設置し、その中で教育委員会との協議を踏まえて、教育行政の大綱をつくるということになりますので、その中で、区としての教育に関する基本的な方針について定めさせていただきたいと思っております。
 この制度改正によって、教育委員会と区行政との関わりが極めて密接になるわけでございます。新しい制度での教育長というのは特別職としての位置付けとなり、我々と新しい教育長がお互いに連携して、墨田区のよりよい教育を目指していくということになるわけでございます。そういったことも踏まえまして、教育委員会としてどのような体制が求められるかについては、これから十分に検討させていただいて、必要な対応をさせていただきたいと思っております。

◆委員(井上ノエミ君) 
 次に、英語教育についてお伺いします。英語活動教材「SUMIDA ENGLISH」についてですが、イギリス人の友達も、これまでの日本の英語活動教材に比べてよくできていると言っています。ただ、一部おかしい点もあるという意見でした。例えば、日本地図があって、都道府県名を英語で当てるクイズがあります。これは、地理の勉強で、英語学習には関係ないとの意見でした。確かに、日常では使わない会話であり、作成した人は日本人だと思います。私も、「prefecture」という単語が出てきてびっくりしました。この単語は、音節が三つあって、おそらくは日本の中学の英語教師でも正しく発音できる人は少ないと思います。この教科書は、学研が作成したものと聞いていますが、もっと専門性が必要だと思います。その意味で、教育委員会や英語教育の専門性の強化が必要だと思いますが、どのように考えているのかお伺いします。
◎教育委員会事務局次長(石井秀和君) 
 ご指摘のありました「SUMIDA ENGLISH 2」の都道府県名を当てるクイズにつきましては、その活動のみで終結するものではございません。その後に、各都道府県の名称を調べる活動や、その都道府県がどこにあるかを尋ねる言い方や、答え方についても扱う内容になっています。日本の都道府県名を当てるクイズは、児童にも人気のある内容でございまして、それを英語で行うことで、楽しみながら、尋ね方や答え方の表現を理解させるという目的がございます。また、社会科の授業では、都道府県の名前、位置、気候、主な農産物や工業製品などを扱うことから、それらを英語活動の授業でも反復させることができて、教科の横断的な学習につながっているというものでございます。
 次に、教育委員会や英語教育の専門性の強化については、指導室の諮問機関といたしまして、英語教育検討委員会を設置しております。委員として、墨田区立中学校の教育研究会の英語活動部長である校長先生などや、英語教育、国際理解教育を専門とする教員を委嘱して協議しているところでございます。今後も、その中で、「SUMIDA ENGLISH」の改定や、英語教育の専門性の強化を図ってまいりたいと思っています。

◆委員(井上ノエミ君) 
 最後に、すみだ北斎美術館についてお伺いします。すみだ北斎美術館のホームページ内に、「すみだ北斎美術館ダイジェスト映像」という短いビデオが掲載されています。これは、大変よくできた映像で、是非多くの区民に見ていただいて、北斎について理解していただきたいと思います。しかし、残念ながら、インターネットを使わない区民は見る機会がないと思います。私は、区役所の1階に大型の液晶テレビを付けるべきだということを、以前から何度か提案しました。区役所の1階には多くの区民が来庁しますから、まずは来庁者にこのビデオを見てもらえれば、北斎美術館に対する理解も深まると思います。是非、真剣に検討していただきたいと思いますが、山崎区長のご見解をお伺いします。
◎区長(山崎昇君) 
 以前にも井上委員からご提案をいただいた際に、区役所1階のテレビで区の観光案内を実際に見させていただきました。しかし、小さなテレビでの観光案内ですので、大型のテレビではありません。したがって、もう一度、井上委員のお考えになっているイメージを直接担当にもお聞かせいただいた上で、それが可能なのかどうか検討させていただきたいと思います。